松本雅弘牧師の日々のみことば

月曜から金曜の毎朝、高座教会の牧師からメッセージをお届けします

クリスマスの思い出

「味わい、見よ、主の恵み深さを。いかに幸いなことか、御もとに身を寄せる人は。」 (詩編34:9)

 以前、あるクリスチャンの雑誌を読んでいましたら、次のようなお話が紹介されていました。
 ある学校の先生に12歳になる娘さんがいたそうです。その先生の奥さんが急に天に召されたのです。その日から、12歳になる娘さんの母親役まで、彼はしなければなりませんでした。
しかし、学校の教師という忙しい仕事の中にあります。ですから、我が子のために十分な時間をとれずに、いつも心を痛めていました。そんな中で、彼はクリスマス休暇が来るのを楽しみにしていました。
親子水入らずで、久しぶりにゆっくりとした時間を過ごせると思ったからです。ところが、休みが始まった最初の日、娘は自分の部屋に入ったきり、外に出てこないのです。
かろうじて食事の時には出てくるのですが、その他の時間は、部屋にこもりっきりでした。クリスマスまでそれが続きました。クリスマス休暇を、楽しみにしていた父親は、次第にイライラしてきました。
とうとうクリスマスの朝になりました。朝起きて、リビングに行きました。そこにはアドベントからずっと、ツリーが飾られていたのですが、その朝、そのツリーに、毛糸で編んだ男ものの一組の靴下がぶらさがっていたのです。
その子が、お父さんのために、と思って、一生懸命編んでいたのです。彼女は、目をキラキラさせながら、お父さんに言いました。「クリスマスまでに完成させるのに、気が気じゃぁなかったわ。お父さんの靴下よ。素敵でしょう?」
父親はそう語る娘に涙を見せまいと、彼女をギュッと抱きしめました。そして、心の中でこのように言ったのです。「お父さんは靴下よりも、お前と一緒に時間を過ごしたかったんだよ!」と。
 「親の心、子知らず」という言葉がありますが、私たちも、主なる神様がどれほど、私たちとの会話の時間、交わりの時間を求めておられたのに、私たちは一生懸命「その神様のために」と、何かすることに忙しく過ごしていたのではないでしょうか。
そうした神様の思いを知らずに、主の御前に過ごす時間がいかに貧しかったかと思います。神様は、この父親のように、主の前にやってくる私を抱いて、涙を流されるのではないでしょうか。
ぜひ、アドベントの期間、主の御前に静まり、語り合う時として過ごしていきたいですね。

 いってらっしゃい

 牧師 松本雅弘