松本雅弘牧師の日々のみことば

月曜から金曜の毎朝、高座教会の牧師からメッセージをお届けします

金持ちとラザロ

「ある金持ちがいた。いつも紫の衣や柔らかい麻布を着て、毎日ぜいたくに遊び暮らしていた。
この金持ちの門前に、ラザロというできものだらけの貧しい人が横たわり、その食卓から落ちる物で腹を満たしたいものだと思っていた。
犬もやって来ては、そのできものをなめた。やがて、この貧しい人は死んで、天使たちによって宴席にいるアブラハムのすぐそばに連れて行かれた。
金持ちも死んで葬られた。」(ルカ16:19−22)

 信徒宣教者の柳沢美登里さんが、以前、教会祈祷会で今の日本社会が抱えている次のような問題を、スライドに写して見せてくださいました。
・日本人の85%が生きる意味がわからないと言っている
・12年連続で自殺者が3万人超(2012年まで)
・「無縁社会」人間関係の孤立
・うつ病(推計250万人)や精神的疾患の激増
・失業増(3人に1人非正規雇用)
・児童虐待(約5万件18年連続増)
・いじめ・不登校
・弱者への無関心
・少なくとも70万人(最大150万人)の若者ひきこもり
・孤独死(独り暮らしの6割問題)
・薬物、アルコール中毒

 世界には、こうした声なき者「ラザロ」が大勢いる。いや、ある面で私たちも「ラザロ」かもしれません。そうした者たちが共にこの世界に生きていることを改めて知らされます。
 さて「ラザロ」という名が出てきますが、譬え話に固有名詞が出てくるのは異例です。
 実は声を上げることも出来ない弱い立場にある方々にも、実は固有の名前があるのだと、主は気づかせようとされているのではないかと思うのです。
 しかも「ラザロ」とは「神は彼の救い」という意味です。
そうした方々に、神の愛を具体的に伝え、「神はあなたの救い」ということを、まさにその名を身に帯びた方々に分る形で表していくように、私たちは召されているのです。

 いってらっしゃい。

 牧師 松本雅弘