松本雅弘牧師の日々のみことば

月曜から金曜の毎朝、高座教会の牧師からメッセージをお届けします

世界で最初のクリスマス

「ところが、彼らがベツレヘムにいるうちに、マリアは月が満ちて、初めての子を産み、布にくるんで飼い葉桶に寝かせた。
宿屋には彼らの泊まる場所がなかったからである。」(ルカ2:6−7)

 イエスさまがお生まれになったのは、ローマの皇帝がアウグストウスの時代でした。その時、ローマ皇帝が勅令を発布し、領土内に住む人々に住民登録を義務づけました。
理由は皇帝の力を世界のすみずみまで知らしめるためであり、全住民から税金を取り立てるためでもありました。

 ヨセフとマリアもしぶしぶ、ナザレからベツレヘムへと旅をしたのです。
その距離、およそ120キロ。ロバの背に揺られて、埃っぽい石ころの道を行く旅を強いられたのです。
 マリアはどんな思いでいたのでしょう。旅はかなりきつかったはずです。着いた途端に出産した程ですから。ベツレヘムに着いたら着いたで、誰も場所を空けてくれません。
大きなお腹を抱えた女性と彼女をいたわり歩く男性がなんでベツレヘムにやって来たのかは、宿に泊まっていた誰もが知っていたはずです。
皆、旅行者でしたから。でも誰ひとり、「狭いけれどどうぞ」と言って場所を空ける人がいませんでした。
 ですから結局、家畜小屋で出産することとなったのです。彼らにとっては初めてのお産。本当ならば清潔で静かな部屋が欲しかったことでしょう。

 ある人が言っていました。「クリスマスの出来事を1つひとつ考えてみると、クリスマスの物語の中には、本当はそうあって欲しくない話、そうあってはならないという話が幾つも含まれている」と。
 そうです。神さまは「決して、そうあってはならない」と熱い愛をもって寂しく片隅に追いやられた人々の所に御子を送ってくださった。
それによりあなたへの愛、そして互いに愛することの大事さを教えてくださったのです。それがクリスマスを通して示された神さまの御心なのです。

 いってらっしゃい。

 牧師 松本雅弘