松本雅弘牧師の日々のみことば

月曜から金曜の毎朝、高座教会の牧師からメッセージをお届けします

履物を脱がされる経験

「神が言われた。『ここに近づいてはならない。足から履物を脱ぎなさい。あなたの立っている場所は聖なる土地だから。』」(出エジプト記3:5)

 昨年、心理学者、翻訳家の中村佐知さんのセミナーに参加する機会がありました。そのとき、中村さんが、エリザベス・バレット・ブラウニングの詩を紹介されたのです。
「この地は天で満ちている/どの普通の柴も神の火で燃えている/しかし、それに気づく者だけが、履物を脱ぐ/他の者は、ただその周りに座り、木苺を摘む」
この詩はモーセの体験をあらわしたものです。40歳までモーセは、ファラオの暮らす宮殿で王族の一員として生活しました。まさに王子として、当時の最高峰の学問に触れる機会に恵まれました。
今でいう「リーダーシップ」の学びを修めたのでしょう。その結果、言葉にも行いにも力ある者となりました。そしてその後、荒野に逃亡し、そこで40年間、羊飼いとして暮らすことになりました。
この時の経験が、のちに出エジプトを導くに必要な具体的ウハウを習得する機会となったのかもしれません。
ただ、聖書に出てくるモーセの生涯を概観するとき、王宮での修学や荒野での羊飼いとしての実体験は、その後のモーセを形成したことに間違いありませんが、
心を留めなければならないことは、事あるごとに交わされた、主なる神とモーセとのやり取りの方だと思うのです。その徹底した交わりによって生じた履物を脱がされる経験なのではないでしょうか。

今日は4月1日、始まりの日です。新しい環境での生活に期待もある一方、不安もあることでしょう。
でもご安心ください。あなたの遣わされるところに、主が共におられますから。心の目を開かせていただき、今も、目の前で柴を燃やすように生きて働き続けておられる主を覚えてください。
そして、そこにおいて、履物を脱がされる経験もさせていただきましょう。

いってらっしゃい。

牧師 松本雅弘