「イエスは言われた、『するままにさせておきなさい。なぜ、この人を困らせるのか。わたしに良いことをしてくれたのだ』」(マルコ14:6)
過越祭と除酵祭の2日前のことでした。エルサレム近郊にベタニヤの村があり、そこに重い皮膚病の人シモンの家がありました。
そこへ何のまえぶれもなく、ある女性が香油の壷を持って入って来て、アッという間に、壷を壊して高価な香油をイエスさまの頭に注ぎかけたのです。
そこに居た人々は戸惑いと共に怒りを覚えました。なぜなら、その香油はとても高価なもので、三百デナリオンの値打ちがありました。「三百デナリオン」といえば労働者の一年分の稼ぎに相当します。「何て無駄なことを!」と思ったからです。
「三百デナリオンで売って施しが出来るのに!」と非難したのです。この世の常識で香油の値踏みをし、そこにいた誰もが一致してその女性を厳しくとがめました。
でもイエスさまはどうされたでしょう? 頭からいきなり香油をかけられたのは他でもないイエスさまです。食事中でしたから、「いい香り」と言っても限度があります。逆に食事の席では強い香りは禁物です。
ですから一番困ったのはイエスさまだったに違いありません。
でもイエスさまは「するままにさせておきなさい」とおっしゃったのです。つまりイエスさまだけは彼女をそのままの姿で受けとめてくださったのです。
それだけではありません。「何故、この人を困らせるのか」と彼女の味方になってくださった。さらに「わたしに良いことをしてくれたのだ」と彼女のしたことを積極的に評価されたのです。
実は、イエスさまは同じ愛をもってあなたを受けとめ、どんな時にもあなたの味方となり、どんなことでもあなたを積極的に評価してくださるお方なのです。
この愛に支えられ、私たちは初めて、本来の自分を取り戻すことが出来るのです。このことを忘れないでくださいね。
いってらっしゃい。
牧師 松本雅弘