松本雅弘牧師の日々のみことば

月曜から金曜の毎朝、高座教会の牧師からメッセージをお届けします

日々を数える

「生涯の日を正しく数えるように教えてください。知恵ある心を得ることができますように。」(詩編90:12)

 イタリア人作家で物理学者、パオロ・ジョルダーノの『コロナの時代の僕ら』を読みました。
今朝の聖句は、「このところ僕がよく思い出す祈りがある」と前置きされた後に出てくる御言葉です。続いて次のような文章が綴られています。

「そんな祈りを思い出すのは、感染症の流行中は誰もが色々なものを数えてばかりいるからなのかもしれない。
僕たちは感染者と回復者を数え、死者を数え、入院者と学校に行けなかった朝を数え、株価の暴落で失われた莫大な金額を数え、マスクの販売枚数を数え、
・・・幾度も幾度も、何よりも繰り返し数える日数がある。危機が過ぎ去るまでにいったいあと何日あるのか、だ。
でも、僕はこんな風に思う。詩編はみんなにそれとは別の数を数えるように勧めているのではないだろうか。
われらにおのが日を数えることを教えて、日々を価値あるものにさせてください―あれはそういう祈りではないだろうか。
苦痛な休憩時間としか思えないこんな日々も含めて、僕らは人生のすべての日を価値あるものにする数え方を学ぶべきなのではないだろうか。
・・・日々を数え、知恵の心を得よう。この大きな苦しみが無意味に過ぎ去ることを許してはいけない。」

 「あとがき」には「コロナウイルスの『過ぎたあと』、そのうち復興が始まるだろう。だから僕らは、今からもう、よく考えておくべきだ。
いったい何に元どおりになってほしくないかを」と語り備忘録が記されるのですが、中でも最も印象深かったのは、「今回のパンデミックのそもそもの原因」は「僕らの軽率な消費行動にこそある」との指摘でした。
人間を常に欠乏感で満たし不幸にするのは「軽率な消費行動」を生み出す消費主義にあることを暴いています。
主よ、日々を数え、知恵の心を得させてください。

いってらっしゃい。

牧師 松本雅弘