松本雅弘牧師の日々のみことば

月曜から金曜の毎朝、高座教会の牧師からメッセージをお届けします

真に人間らしい生き方

「主の霊がわたしの上におられる。貧しい人に福音を告げ知らせるために、主がわたしに油を注がれたからである。
主がわたしを遣わされたのは、捕らわれている人に解放を、目の見えない人に視力の回復を告げ、圧迫されている人を自由にし、主の恵みの年を告げるためである。」(ルカ4:18−19)

 今日の聖句は、主イエスが宣教の初めに故郷ナザレの会堂でお読みになったイザヤ書の言葉です。
読まれた後、「この聖書の言葉は、今日、あなたがたが耳にしたとき、実現した」と、ここに書かれていることを実現するためにメシアとなった、と語られました。
「主の恵みの年」とは50年ごとのヨベルの年を指します。50年もすれば格差が生じます。ヨベルの年とは50年ごとのリセットの恵みです。
借金の帳消し、土地の返還、奴隷の解放が起こる。ただ貧しい側の人々にとっては恵みですが、富んでいる側の人々にとっては恵みとは言えます。
ゆえに旧約学者の間では、実際にヨベルの年が行われたかどうかについて疑わしいとされています。私たち人間は既得権を放棄しにくいからです。
ただ大事な点は、主イエスが実現しようとなさった神の国のイメージが、このヨベルの年に現わされていたことです。
思えば、神の国を示す、あの「ぶどう園の譬え」でも、最後に雇われ1時間しか働かなかった、いや働けなかった労働者に最初に賃金を渡す主人の行動に違和感を覚えてしまいます。
でも主イエスは、それが神の国だとおっしゃるのです。こうした無条件の神の愛を受け取ることは結構難しい。それは私たちに生き方に変更を迫るからです。
でも主イエスによってもたらされた神の国に生きる者とは、実は誰もが心の深くに憧れる、真に人間らしい生き方なのではないかと思います。
今日も喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣く者として、神の民としての生き方を選び取っていきたいものです。

いってらっしゃい。

牧師 松本雅弘