「アブラハムは進み出て言った。『まことにあなたは、正しい者を悪い者と一緒に滅ぼされるのですか。』」（創世記１８：２３）
主の御心を知ったアブラハムの心は不安でいっぱいになりました。ソドムの滅亡は甥のロトとその家族の滅びを意味していたからです。
それ以上にアブラハムの心には、主が正しい者を悪い者と一緒に滅ぼす理不尽な方であって欲しくないという強い願いがありました。こうした思いが彼を執り成しの祈りへと駆り立てていったのです。
アブラハムは数字を挙げ、必死に祈りました。ところが、聖書を読むと、神さまとの取引の途中で祈りを中断してしまったように見えるのです。何が起きたのでしょう？
私たちも自分の願いを神さまに向けて押し付けるかのようにして祈ることがあるかもしれません。この時のアブラハムもまさにそうでした。
しかし、そうした祈りのプロセスにおいて、神さまの御心に触れる経験をさせられていきました。
「このお方は私のことを愛し、最善をなそうとしてくださっている。私には問題の一部しか見えないかもしれない。しかし神さまは全てをご存じのお方で、常に最善をなしてくださるのだ。
それだけではなく、最善をなそうとする強い意志をもっておられる。しかも最高のタイミングで・・・」。
神さまに向き合いながら導かれていったアブラハムは、仮に自分のシナリオ通りに物事が進まなくても、神のシナリオこそが、自分にとっても、ロトとその家族にとってもベストなのだと確信したのです。
それは、祈りを通して真実な神さまと触れ合う経験をしたからです。ですから、この神さまに、全てを委ねることができる。委ねていいのだ、と確信することが出来たのです。
実は、御言葉と祈りの習慣を通して、あなたが向き合っているお方はアブラハムが祈りを通して向き合った同じお方なのです。何て素晴らしい経験ではありませんか！
いってらっしゃい。
牧師 松本雅弘