松本雅弘牧師の日々のみことば

月曜から金曜の毎朝、高座教会の牧師からメッセージをお届けします

自分自身を愛する

「わたしたちが愛するのは、神がまずわたしたちを愛してくださったからです。」(1ヨハネ4:19)

 学生の時、忘れることの出来ない1冊の本との出会いを経験しました。
ウォルター・トロビッシュ著、『自分自身を愛する』という書物です。
美しい、ブロンドの髪の女性が、トロビッシュという牧師のもとに来て、「自分を愛することができません」と告白するところから、その本が始まります。
その本を読んで知らされることですが、大切な人を大切にできないことの根っこには、実は、自分自身を大切にできていないことが原因としてある、というのが、この本の中心的なメッセージでした。
自分を大切にできていない人、言い換えれば、自分をそのままで受け入れることができない私たちは、現状に不満をもっていて、決して満足していません。一生懸命、別の何者かになった自分を想定したうえで愛そうと努めるものです。
そうした満足のない内面を抱えていますから、他の人を愛する代わりに、他の人に愛して欲しいと切に求めてしまいます。自分の内面にある「渇き」を癒すために、周囲の人を利用するのです。
その結果、愛は限りなく奪うのです。それを聖書では「エロスの愛」と呼びます。
ところが主イエスは、驚くことに、「あなたがいてくれて本当によかった」と言ってくださる。これを「アガペの愛」と言います。
聖書は、このイエスさまに出会うことが、全ての始まりだと説くのです。このイエスさまと出会い、イエスさまに大事にしていただき、イエスさまに愛していただく。
その結果、弱さの多い自分自身と向き合う勇気が与えられ、場合によってはそうした「弱さ」が、神に与えられた個性であることを知らされていきます。
そして今朝の聖句、これは今年の高座教会の主題聖句ですが、全ての営みに先立って、まず神さまの愛を実感するところからすべてが始まることを経験するのです。

いってらっしゃい。

牧師 松本雅弘