「これらのことを話したのは、あなたがたが私によって平和を得るためである。あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。私はすでに世に勝っている。」 (ヨハネ16:33)
主イエスがお生まれになった時代、世界は「ローマの平和」を享受していました。しかし、中身は強大な軍事力を背景とする抑圧、弱く小さい者たちが無理を強いられる「平和」でした。その動かぬ証拠が主の誕生にまつわる種々の出来事です。 なぜ御子がヨセフとマリアの居住地ナザレでなくベツレヘムで誕生したのか。なぜ客間ではなく家畜小屋で誕生したのか。難民としてエジプトで逃亡生活を送ったのか等々。全て「ローマの平和」が支配する状況下で起こった出来事で、聖書はこの「平和」を真の平和とは呼びません。 真の平和とは、時代の「物差し」によって「強・弱」「上・下」の差別が起こる競争社会ではなく、人間の目から見た「強・弱」「上・下」が、神の視点によって「賜物」「個性」となる共生社会、「ちがい」をもって補い合う、相補的関係により結びつけられた世界をもたらします。教会は、こうした神の国の到来を待ち望み宣教の業に励む共同体です。 第二次世界大戦中、殉教したボンヘッファーは、主の勝利宣言を記す今日の聖句から「究極的事柄」と「究極以前の事柄」の二つに分けて思考する道を示しました。 究極的にはキリストが勝利し、平和が実現する。世界はその方向へと動いている。ただ今は「究極の一歩手前の時」なので、平和でない現実が周囲を覆っている。 しかし失望する必要はない。なぜなら「定められた時」にキリストは平和を実現されるから。私たちは究極的にキリストの平和が実現される希望を抱きつつ、「究極以前」の「今の時」を「究極の一歩手前の真剣さ」をもって宣教の業に励み、神の国の到来を待ち望もうではないか、と。 この言葉を携えて、今日も、いってらっしゃい。
牧師 松本雅弘
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